プロレスの本棚

40年間、ため込んできたプロレスの本棚の備忘録です。

ブルーザー・ブロディ 30年目の帰還 斎藤文彦著 書評レビュー

キングコングの画像

ブルーザー・ブロディが亡くなってから、もう30年以上が経つのですね。

 

ブロディを初めて見たのは、小学生の頃にテレビで見ていた全日本プロレスです。

 

当時、新日本プロレスの外人エースだったスタン・ハンセンが、突然全日本プロレス世界最強タッグリーグ戦に乱入してきました。

 

で、場外で相手チームのファンクスのテリーにラリアート

 

テリーが場外で紙テープにぐちゃぐちゃに絡まって、もがいていたのを覚えています。

 

ただ全日本時代のブロディは、強いし、外見も迫力があるのですが、なんか地味で、やはりハンセンのパートナーのイメージが強かったですね。

 

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最強の超獣コンビと、当時売り出し中のロードウォリアーズ戦なんかは見たかった気がするのですが、実現せず…。

 

その後、電撃的に新日本プロレスへ移籍。

 

この新日本時代のブロディもあまり印象がないんですよね。

 

私自身が中学生になって、あまりプロレスを見なくなったという事もありますが、日本人で対抗できるのが猪木くらいで、その猪木とも両者リングアウトとか反則決着ばかりで、名勝負と言えるような試合はなかったように記憶しています。

 

逆に、マードックとか、ケンドー・ナガサキランボー・サクラダ)が互角に戦っていて、すごいなぁと思っていました。マードックって案外強いんだなと。

 

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せっかく新日本に来たのだから、ホーガン戦をやらないのかなぁと思っているうちに、試合をボイコットしたとかで、新日本とは契約解除。

 

そして、気付いたら全日本プロレスに復帰していましたね。

 

確か鶴田からインターナショナルヘビー級のベルトを獲った後に、ファンと抱き合っていたのが印象的でした。

 

ブロディも変わったなぁ…と。

 

これから、全日本でいよいよハンセン戦かと思っていた矢先、例の事件でブロディが亡くなったと聞きました。

 

結局、ブロディって、猪木や馬場、鶴田、天龍といった日本人とは戦いましたが、ホーガンとかハンセン、ロードウォリアーズといった同じ大型の外国人レスラーとの戦いは皆無だったのかな。

 

大型外国人との対決があれば、盛り上がったのになぁと思います。

 

ハンセンは、アンドレともやったし、ホーガンやベイダーともやりましたしね。その差が印象の深さの違いなのでしょうか。

 

それから30年、表紙にひかれて、「ブルーザー・ブロディ 30年目の帰還」を読んでみました。

 

【目次】

 

 

ブルーザー・ブロディ 30年目の帰還 書評

 

【プロローグ】

 

プロローグでは、ブロディが亡くなった当時の事がドキュメント風に紹介されています。

 

当時は、まだインターネットも普及していないですし、情報が錯そうしたでしょうね。

 

一番困ったのは、馬場さんだったかもしれません。色々と今後のストーリーを考えていたでしょうから。

 

【第一章 ブルーザー・ブロディの誕生とその栄光】

 

第一章は、ブロディの生い立ちからの新日本プロレスへの移籍前までの略歴が紹介されています。

 

生まれたのは1946年ですから、第二次世界大戦終戦の翌年ですね。

 

このページにブロディのハイスクール時代の写真が載っていますが、ひげも無く、髪も七三分けなんですが、老けてるなぁ…パッと見、40代のビジネスマンといった感じです(*_*)

 

大学時代のフットボール選手の頃はかなりの問題児だったようですね。このあたりはハンセンの自伝にも書かれていましたね。

 

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この項では、ウエステキサス大学出身のドリーやテリー、ローデスなどのプロフィールなども紹介されています。

 

昔、プロレス・スーパースター列伝で、ブロディは大学卒業後にスポーツ新聞記者になったと書いてありましたが、あながち嘘ではありませんから、梶原一騎は脚色はしていたけど、ちゃんと調べてはいたんですね。

 

プロレスデビュー後に、大学時代のチームメイトだったハンセンと再会、タッグチームを結成。

 

そして、WWWF(現WWE)でブルーノ・サンマルチノと抗争。

 

プロレス・スーパースター列伝では、ハンセンの敵討ちとして、ニューヨークに出向いたとありますが、ここは脚色ですね(^_^.)

 

この後、後に結婚するバーバラさんとオーストラリアで出会います。

 

そして、全日本プロレス参戦へと続きます。

 

馬場さんは、体の大きなレスラーが好きだったみたいですから、ジャンボ鶴田のライバルとして期待していたのでしょうね。

 

 

【第二章 ブロディという人物】

 

第二章は、著者が行った過去のブロディのインタビューやレポートが掲載されています。

 

読んでいて感じたのは、ブロディは、どんな相手に対しても、一貫して必ず主導権を取るということでしょうか?

 

インタビューでもそうですし。プロモーターに対しても、自分の主義は曲げないし、実際の試合でもそう。

 

もちろん、プロとしては絶対に欠かせない要素なのでしょうが、そこらへんがもう少し柔軟であったなら、違う人生を歩んでいたのではと、ついつい思ってしまいますよね。

 

どの言葉からも、知性の高さとプライドが感じられます。

 

ただ最後のインタビューの時は、ブロディも出戻りでしたから、多少は人間が丸くなり出したのかなとも思いますね。

 

実際、鶴田にピンフォールま負けを喫していますし、新日本時代は一度も負け役はやっていないですからね。

 

プエルトリコでもそうであれば、とまた考えてしまいました(^_^.)

 

【第三章 ブロディ事件の衝撃】

 

第三章では、ブロディが亡くなった事件に関して、ハンセンやブッチャー、ジミー・スヌーカ、そして奥さんであるバーバラさんのインタビューが載っています。

 

以外だったのは、ブッチャーが想像以上に信心深い人間であったこと、そしてブロディの趣味が「株」だったことですかね。

 

 

【第四章 ブロディ事件の真相】

 

第四章は、ブロディ事件のあった当日、会場にいたレスラー達(トニーアトラスやTNT、ダッチ・マンテル)の証言から、事件の真相を探っていきます。 

 

ブロディとゴンザレスの付き合いはWWWF時代から始まっていたようですから、ある意味長い付き合いなんですよね。

 

当日も試合場まで、ゴンザレスに送ってもらう予定だったようですし、ところがトニー・アトラスの証言によると、アトラス達と行ってしまったようですから、意外とそれが原因なんてことはないですよねぇ。

 

やはり現場となったドレッシングルームでの証言は、生々しいです。

 

でも当日の試合は、ゴンザレスも出場して、そのまま行われているんですよね。

 

日本では、ちょっと信じられない話ですよね(^_^.)

 

翌日の試合は、アメリカのレスラー達がボイコットして、中止となったようですが、この数日間はかなり慌ただしい動きがあったようです。

 

ここらあたりの話は、当日会場にいたケンドー・ナガサキの自伝でも詳しく紹介されています。

 

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しかし、後々行われた裁判では、正当防衛が認められてしまう訳ですから、遺族や友人達にとっては、本当につらい結末ですよね。

 

【第五章 ブルーザー・ブロディが遺したもの】

 

最終章では、ブロディを扱った2冊の伝記が紹介されています。

 

1冊目は、奥さんのバーバラさんの回想を基に書かれた書籍で日本でも翻訳版が出版されていますね。私も読みました。

 

もう1冊は、エマーソン・ミューレン氏の著作「ブルーザー・ブロディ」で、こちらは取材を基にしたノンフィクションのようです。ブロディの前妻の証言も多くあるようですから読んでみたいなぁ。

 

もう翻訳版はでないのでしょうね(^_^.)

 

中盤は、ブロディが亡くなって以降の激動のプロレス史が語られています。

 

そして最後は、インディペンデントをキーワードとしたブロディの言葉が掲載されています。

 

この最後の言葉を読むと、短い人生だったかもしれないけれど、ブロディは自分の望む生き方を貫いたんだなと改めて思いましたね。

 

ブルーザー・ブロディ 30年目の帰還の感想

 

ある程度、自分でも予想していましたが、やはり読みだしたら、あっという間でしたね。

 

読み応えがあったのは、第二章のインタビューと第四章ですかね。

 

ただ、ゴンザレス自身の証言はないので、本当の意味での真相は、…。

 

エピローグでは、現在のバーバラさんが紹介されていますが、一人息子のジェフリーさんも37歳という事で、ブロディの最大の懸念は晴れたようで、良かったです。

 

ブロディ以降の米国のレスラーは、皆マッチョマンになってしまいましたから、本当のレスラーらしい体をした、最後のレスラーといったところでしょうか。

 

総合評価は、☆☆☆3とさせて頂きます。

 

今回も、最後までお読み頂きありがとうございました。

 

   

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