ケンドー・ナガサキ自伝 桜田一男 書評レビュー。
ずいぶんと発売が延期されていましたが、ようやくケンドー・ナガサキの自伝が発売されましたね。
私は、アメリカで活躍した悪役日本人レスラーの生き様って好きなんですよ。
日本での格は関係なく、本当に裸一貫でアメリカで仕事をしていく、そういう生き方に憧れた事もありました。
グレート・カブキ、マサ斎藤、キラー・カーン達に次ぐ、トップヒールだった「ケンドー・ナガサキ」のプロレス人生を知りたくて、本書を手に取る事にしました。
【目次】
【ケンドー・ナガサキのプロフィール】
本名 桜田一男
1948年9月26日 北海道網走市出身
188センチ、120キロ
中学卒業後、大相撲の立浪部屋に入門。
1971年 日本プロレスへ入門。同年6月デビュー。
1976年 海外遠征へ。
1981年 ケンドー・ナガサキに変身。
1990年 SWSの旗揚げに参画。
SWS崩壊後は、NOW、大日本プロレスへ。
本書より抜粋
【ケンドー・ナガサキの印象】
ケンドー・ナガサキを初めて知ったのは、小学生の頃、当時月刊誌だったプロレス雑誌でした。
確か海外で活躍している日本人レスラーを特集しているページだったと思います。
顔はペイントをしていて、目がギョロっとして、頭は剥げてるし、カブキのように毒霧を吐くのでしょうか、口の中が緑色だったのを覚えていますね。(実際は、剥げている訳ではなくて、剃っているのを後から知りました)
結構、写真のインパクトは強くて、これは悪い奴なのだろうなぁと思っていました。
後は、子供の頃に連載していたプロレス・スターウォーズでカブキのタッグパートナーでしたね。
新日本プロレス時代のケンドーナガサキ
実際に実物を見たのは、新日本プロレスに「ランボー・サクラダ」のリングネームで来日した時でした。(なぜかサクラダがケンドー・ナガサキだとは知っていましたね。なぜだろう(?_?))
印象は、地味~でしたね。
当時の親日にはブロディがいましたが、ホーガンはもうほとんど来日していなくて、猪木以外はブロディの相手になるような選手がいないので、ブロディとマードックが戦ったりしていました。
おそらく、このサクラダもブロディの相手役として、日本に呼ばれたのだろうなぁと子供ながらに思っていました。実際、ブロディに力負けしていなかったのは覚えていますね。
その後は、ケンドー・ナガサキの姿で、ペイントをして、ミスター・ポーゴとタッグを組んでいましたね。
ただ正直言うと、やはり印象は薄いです。
本来がヒールレスラーですから、日本ではあまり悪い事もできないし、本人も消化不良だったんじゃないでしょうかね。
SWS時代以降のケンドー・ナガサキ
その後は、SWSの「道場・激」に所属して、あの頃からスキンヘッドでしたっけ?
SWSの崩壊後は、大日本プロレスで、総合の試合に出て、ノックアウトされたのを覚えていますね。
ここまでの内容だと、単に日本ではパッとしなかった中堅レスラーなのですが、後に海外ではトップとして成功していたと知りました。
私、海外で活躍していた日本人の悪役レスラーって大好きなのですよ。マサ斎藤さんとかグレート・カブキとかですね。
あと、まだWWFが全米制覇をする前の時代。まだ各地に独立したテリトリーがあって、そのテリトリーを渡り歩きながら、レスラー達が活躍していた時代が好きです。
その両方を味わえるのではないかと、本書は新刊で買いました。その内容は、どうだったでしょう?ドキドキ
【ケンドー・ナガサキ自伝 書評】
まえがきでは、しょっぱなからケンドー・ナガサキ誕生の逸話について書かれています。
なるほど、この人からの提案だったのですね(*'ω'*)
あのスタイルは、自分からはやらないよなぁ…だって、はげ武者だもん(^_^.)
本編(桜田一男の生い立ちから、日本プロレス時代)
第一章では生い立ちから、大相撲時代。第二章では日本プロレスでの修業時代が書かれていますね。日プロ時代の話は、ほぼ同期だった藤波選手やキラー・カーンの自伝とも重なりますね。
特にプロレスの基本、技の流れについて、理論的に説明されていますね。確かに言われてみると、組み合う時も反対だったらケガをするでしょうね。
第三章では、ケンドーナガサキの立場から見た日本プロレスの崩壊が書かれています。著者の場合は、猪木派でもなく、馬場派でもない、言ってみれば日プロ派としての立場ですね。
第四章は、日本プロレスが崩壊し、事実上全日本プロレスに吸収された頃の話です。
正直、良い扱いはされなかったでしょうが、桜田の場合は少しずつ外人レスラーと試合が組まれたり、短期的な海外遠征を経験したりして、地道に地力を付けていった感じでしょうか。
あと大仁田や渕など後輩レスラー達が入門してきた事についても書かれています。
桜田一男、海外遠征へ
第五章では、相撲時代に、ほぼ同期だった天龍源一郎が全日本プロレスに入団し、天龍の髷(まげ)を結う役目としてアメリカに旅立ちます。
このあたりの経緯は、天龍の自伝でも書かれていますが、サクラダの場合は、海外修行へ出発したというよりも、天龍のお世話係としてですから、どういう立場だったかが分かりますよね。
それでも腐らずに、このチャンスをものしていくのですね。個人的にはワクワクしてきました!(^^)!
第六章では、トップレスラーへの階段を上っていく上で、実質的な師匠にあたるレスラーとの出会いが書かれていますね。
どの業界でもそうですが、こういう先達との出会いやチャンスをものにできるかで、その後の人生が決まっていくのでしょうね。
第七章では、カナダのカルガリー時代の事が書かれています。ミスター・ヒトと行動を共にしていたようですね。
おぉ、カルガリーでは、ついにNWAのタイトルに挑戦しているではありませんか!
当時のNWAタイトルは、最高の権威でしたから、感慨無量だっただろうなぁ。おそらく、あのまま全日本にいたら、一生挑戦させてもらえなかったでしょうね。
第八章では、全日ではなく、なぜか国際プロレスに凱旋し、「日本リーグ争覇戦」に出場した事が書かれています。
第九章では、フロリダ、ダラスと転戦した模様と、当時のアメリカのレスラーに蔓延していたあるものについてが書かれていますね。
第十章では、全日本プロレスに凱旋した時の事が書かれています。やはり、あまり日本マットは合わなかったのでしょうね。
アメリカに帰国後は、ダラスでカブキのパートナーになっていますね。このマスクマンは、何か見た事があるなぁ。
ケンドー・ナガサキに変身
第十一章では、いよいよケンドー・ナガサキが登場します。ダスティ・ローデスとの抗争など、これまで以上にトップヒールとしての階段を昇っていく訳ですが、やはりあの髪型は、最初は恥ずかしかったようですね。
そんな折り、なぜか全日本プロレスからマスクマンとして、帰国するよう指令がきます。この扱いが後々の決断に関わってくるようです。
そうかぁ、あのマスクマンの正体は、ケンドー・ナガサキだったんですね。
第十二章では、プエルトリコを手始めに、この頃は全米各地を短期的に転戦していたようですね。それだけケンドー・ナガサキの需要があったのでしょう。
そして、この章の後半では、新日本に移籍した経緯について述べられています。
信用とか信頼っていうのは、それまでどう扱われてきたかで決まりますからね。良い扱いを受けていない時に、本当に自分を必要とする人物が現れたら、こういう決断に至るのも分かる気がします。
ランボー・サクラダとして、新日本プロレスへ
第十三章では、「ランボー・サクラダ」として親日本プロレスに来日。本人曰く、やはりランボーのキャラは失敗だったようですね。
そしてポーゴとのタッグでタッグリーグ戦に出場。前述したように、この頃の事は、私も覚えています。ブロディは、このタッグリーグ戦を途中でボイコットしてしまいます。
この章の後半では、サクラダから見た新日本並びに猪木に対しての評価が述べられています。
第十四章では、新日本のホープだった武藤と共に暮らしていた頃のエピソードや女性のこと…。
新日本でのUWF勢との対戦なども述べられています。
第十五章では、プエルトリコでのブロディの事件の事が詳しく書かれています。ナガサキは、あの日、あの会場にいたんですね。
あとタッグパートナーだったポーゴについても書かれていますが、この二人本当に仲が悪いみたいですね。確かポーゴの自伝にも書かれていたような気がしますが…。
SWS時代のケンドーナガサキ
第十六章では、SWS の設立当初の事が書かれていますね。ナガサキもふとした事をきっかけにSWSの設立に関わっていきます。
第十七章では、SWSが崩壊に向かう模様が書かれています。
ただナガサキの場合は、SWS時代も度々海外で試合を行っていたようですから、マッチメイカーだったカブキさんほどは嫌な思いはしていないかも…。
SWSに関しては、様々な意見がありますが、私個人はやはりお金があり過ぎたのが問題だったと思います。
ナガサキやカブキのように海外で成功したレスラー達は、ブッカーやプロモーターからの無理な提案や指令に従いながらも、本人自身の工夫や努力で金を稼げるレスラーになっていくのだと思いますが、SWSの場合はそういった経緯がなくとも金を稼げてしまった。
言い換えれば、そういった努力を欠いたレスラー達に、実力以上のギャラを与えてしまった事が一番の問題だったと思います。
本来は、トップの選手が客を呼んでくれるからこそ、他のレスラーもその恩恵を得る事ができる訳で、必然的に上下関係が築かれていく訳ですが、そうでなくても十分な給料をもらえる訳ですから、勘違いしてしまう人間も多かったのでしょうね。
NOW、大日本プロレス時代
第十八章では、NOW時代、そして大日本プロレス時代の事が書かれています。
NOW時代は、悲しい出来事があったみたいですね(-_-;)
第十九章では、47才で挑戦したバーリ・トゥード(総合格闘技)の事が書かれていますが、小鹿さんの都合で、この路線は途中で断念したようですね。
この章の後半では、新日本プロレスとの対抗戦についても触れています。そういえば、新日本とやってましたねぇ。
あとがきでは、これまでの人生を振り返っていますね。プロレスは「最高の仕事」だったと締めています。
【ケンドー・ナガサキ自伝の総合評価は?】
発売日が延々と延期されて、本当に発売されるのだろうかと思っていたら、ようやく発売されましたね。
私個人としては、面白かったです。一気に読んでしまいました。
ただ欲をいえば、やはりケンドー・ナガサキ時代の写真をもっと載せてほしかったなぁ。
それでも、全19章、255ページで読み応えはありましたよ。
総合評価は、☆☆☆3.5といったところでしょうか。
今後も良い人生を送って頂きたいと思います。
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